「今さら」だけど、やっぱり悔しい文春の記事

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昨日(10/15)発売の「週刊文春」2015年10月22日号の「「お薬手帳」なんていらない!」という記事ですが、医療関係者が読むと「何を今さら…。こうなることは、調剤報酬改訂前の2014年3月には簡単に予想出来ていたじゃん!」と思うのですが、これを、一般の患者さんが読むと「確かにそうかもな。」と思ってしまうかもしれませんね。
この記事の影響かどうか分かりませんが、今日の新規患者さんは、皆さんお薬手帳を断っていかれました(^o^;)
しかし、この記事の中で1番悔しいと思うことは、「おくすり手帳が、相互作用や重複投与などの確認に役立っていることはほとんどない」といった記述です。
少なくともウチの薬局では、乳幼児の耳鼻科と小児科の抗菌薬の2重投与や、年配の方の整形外科と内科のPPIダブル処方、そして、緑内障や胃潰瘍など治療中であることが分かるなど、少なくとも1週間に1回はお薬手帳で疑義照会や患者さんへの注意喚起が出来てますから。
一部の(と信じたい)やる気のない薬局のせいで、お薬手帳自体が無用の長物というイメージになってしまっていることに憤りを感じます。
お薬手帳が役立つか、役立たないのかという議論に大きく影響を与えるポイントとしては、「メリットがあった患者さんの数が、メリットのなかった患者さんの数よりも圧倒的に少ない」という点と、「メリットが生じた場合に、それを統計化(数値化)できる仕組みがない」という点です。
上にも書いた通り「お薬手帳が役に立った」というのは、ウチの薬局でも「1週間に1回程度」、つまり1%程度(←処方箋枚数とか計算しないでくださいね~(>_<;)です。 つまり99%の患者さんには「メリットがないもの」であるという計算をされても仕方がない、という見方をすることもできます。 しかし、“ヒヤリハット”でよく用いられる「ハインリッヒの法則」を当てはめれば、1:29:300、つまり、「お薬手帳が役に立った」という患者さんが300人いらっしゃれば、「1人の重篤な相互作用と、29人の非重篤な相互作用を防いだ可能性」がある、と捉え直すことができるのです。(それが、薬学管理料41点と34点の差=70円×300人÷1%の価値があるかどうかは、なんとも言えませんが…。)
そして、残念ながら「お薬手帳を使って疑義照会をした際や、相互作用が懸念される薬剤をチェックした場合に評価する」仕組みがありません。正確には「重複投薬・相互作用防止加算」という算定がありますが、
(1)患者さんの負担金増が発生するため算定しにくい、患者さんに説明を求められた際に説明しにくい
(2)重複投与や相互作用が認められる場合にのみ算定できるため、緑内障などの疾病禁忌の場合には算定できない
(3)お薬手帳をもとにその相互作用や飲み方を説明しても、医師に報告・照会しない程度のものであれば算定はできない
などのハードルがあり、その算定率は相当低いものと考えられます。
また、当然ながら、お薬手帳を見てOTCのアドバイスをしても、メリットして評価はされません。
そんな訳で、お薬手帳のメリットは大きいのですが、その仕組が根付かないのは本当に残念です。
次回の調剤報酬改定から、電子お薬手帳が要件に入るのかどうかや、マイナンバーから派生すると言われる「医療用ナンバー」の進展具合も、お薬手帳の活路に大きく影響があると思います。
文春の記事に惑わされずに、しっかりとお薬手帳を活用して(加算の算定はともかく)、その有用性をアピールしていける活動に取り組んでいきたいと思いますが…やっぱりこの記事は悔しい!(苦笑)

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コメント

  1. pec より:

    先日、受付でお薬手帳の希望きかれたので不要だと答えた(併用薬無いし)のですが、家に帰って明細見たら普通に41点とられていました。
    こういう事も、不信感⇒不要論につながる気がします。

  2. まきのり より:

    pec さま
    コメントありがとうございます。
    そんなことあったのですね。さぞ、不愉快な思いをされたことと思います。
    おそらく経営陣から「手帳を持たない方には強制的に発行しなさい」と言われている薬局なのでしょう。本当に腹立たしい限りですね。
    pecさんのおっしゃるように、まさしくそうした姿勢がおくすり手帳や薬歴での不信感、不要論につながっていることは、ほぼ間違いありません。
    それに加えて、「薬局」という存在が、医療の担い手でありながら、株式会社等の営利企業であることも事情をを複雑にしています。
    営利企業であるので、開設者(薬剤師でない場合は特に)はいかに利益をあげるか=保険点数を稼いでいくか、という視点で薬局運営を考えます。
    開設者以外の薬剤師は、サラリーマンですから、会社の方針に真っ向から反対できる薬剤師は多くないですし、さらに「事なかれ主義」といいますか、勤務時間や与えられた業務の範囲での医療、という側面が表れやすいと思います。(本当に情けない話なのですが。)
    そうしたところも、薬局や薬剤師に対して風当たりが強くなる要因だと思います。
    こうした不信感の温床を一気に是正することは不可能かもしれませんが、「患者さんと真剣に向き合いたい」という薬剤師同士でなにかできることはないか、取り組んでいきたいと思います。
    また何か気になることがあれば、ぜひコメントをお寄せください!
    ありがとうございました。

  3. pec2 より:

    薬剤師M 様
    はじめまして。医療従事者をさせていただいているものです。
    素晴らしい文章に感動しましたので、長年調剤薬局に抱いてきた感覚を書かせていただきます。
    薬剤師M様のような薬剤師さんが多数派になっていただければ、我々医療従事者は薬剤師さんのことを、現状より良い感情をいだけるのかもしれません。是非、ネットではなくご自身が然るべき立場に立ち、薬剤師さんたちを指導していただきたく存じます。回り道かもしれませんが、学位をとって(もしお持ちでしたら失礼します)薬剤師会で活躍なさって、国に薬剤師の代表として発言してください!ぜひよろしくお願いします。
    さて
    わたしも、残念ながらpecさんと同じ経験を複数の薬局で複数回経験しております。私自身は院内処方をしておりますので保険請求の仕組みをしっていますので、わざと薬局を試しに行きます。もう10数件は我慢の連続でした。はっきり言って呆れました。もはや、水増し請求しない調剤薬局なんてないのかな?とおもっていたら、最近、ようやくお薬手帳を請求しないでという私の希望通りのことをやってくれる良心的な薬局にたどり着きました。その薬局は今風でなく、昔ながらの町の薬屋さんでした。まともな請求をしてくれる薬局を探すのがこんなに大変だったとは。
    今年の調剤バッシングは用意周到だったと感じました。薬剤師会は反論できない状態で中医協に突入してしまいましたね。
    2月の薬歴未記載問題から始まり、3月の公開ディスカッション、5月の無資格調剤報道、6月の骨太の方針、7月の調剤薬局による院内調剤代行疑惑報道、、、。こんなに調剤に不利な報道が都合良く出続けるなんて、おかしいですよね。
    私は調剤薬局はお上に泳がされていたと推察します。
    今年は調剤薬局のありかたの見直しが閣議決定されました。閣議決定の重みは計り知れないとおもいます。
    医師、看護師、国民および行政が抱く調剤薬局への不満は随分と大きいと思います。これは少なくとも10年以上続いていますね。医薬分業で薬剤師さんが活躍できるチャンスが到来したにも関わらず、残念ですが期待に応えられなかったということかと推察しております。
    調剤薬局の薬剤師さんは、薬剤師目線を捨てて、薬剤師以外の医療従事者、国民そして患者が調剤薬局をどう考えているか真剣に考えなさいと周りから求められているのではないでしょうか?
    ネットで薬剤師さんの意見を拝見してますと、どうも世間の意見と乖離しているものが多数見受けられます。
    患者である国民や政府の要望に応える薬局経営をしてもらえれば、自ずとバッシングはなくなるとおもいます。
    薬剤師M様の今後のご活躍をお祈りしております。頑張ってください!

  4. まきのり より:

    pec2 さま
    コメントありがとうございます。
    学位、薬剤師会、行政へ…目標までいただいて、とても光栄です!
    ボクもそんな偉いことを言えた立場ではありませんが、幸いなことに(反面、不幸なことでもあったのですが)ボクの場合、他職種を経験していた期間が長いので、薬局薬剤師という職種に対しても、他の薬剤師と比較して、自分の胸に手を当てやすいという面はあるのだと思います。
    他の医療関係者の方からの視点は、より厳しい物があることは、少なくともボクは承知しています。
    pec2さまのおっしゃっているように、後から医療関係者と知って「やっぱり、同業者でしたか(^_^;)」ということも少なくありません。
    患者としていらした医師に対して(医師国保なので、うすうす分かってはいましたが)、普通に服薬指導をして、普通に服薬指導料を算定していたこともあります。
    その方が、後から医師だと知った(というか、話の流れで「お医者様ですよね?」と聞いてみた)のですが「専門以外の薬のことはさっぱりわからないので、まきのりさんのように説明してくださるとありがたい」と、(お世辞がほとんどでしょうが)おっしゃっていただいたことがとても自信になっています。
    昨日は、やはり身分をおっしゃらずに看護師さんがいらっしゃいましたが、病状や今後の治療の過程、より専門性の高い医師への転院のアドバイスなど、お話をさせていただいている間に、看護師であるが、医師ですらここまでの説明をしてくれたことがなかったので、とても頼りになった、とおっしゃっていただきました。
    正直な話、pec2さまのご指摘の通り、例えば病棟看護師のように、カンファレンスからムンテラ、バイタルチェック、採血、注射・点滴補助、オペの準備など、まさに「ザ・臨床」という現場で24時間対応しながら勤務をされている方から、薬局薬剤師を見ると、薬のシートを3~4枚輪ゴムで束ねて、袋に入れながら「血圧、どうでした?あぁ、じゃあ、このまま続けてください。お大事に。」と言って、薬歴に「本人、Do、特変なし」と3行書いているだけで、相当のお給料がもらえるのなんて、とても許せる業務ではないと(心から)思います。
    今の職場の自分でも、長年Doの患者さんからも一律のフィーをいただくのは、患者さんに対して本当に恥ずかしい思いをしながら働いています。
    しかし、pecさんへの回答でも書きましたが、薬局は営利企業でもあるため、健康保険を利用したビジネスと捉える経営者が少なくないため「フィーがつけられるものは、1点でも多く取れ」と焚つけられるのです。
    本来は、管理薬剤師は開設者に対して、薬局の適切な運営のために進言を行わなければならないことになっていますが「会社としての上下関係」がある以上、強く断れない状況もあります。
    薬剤師会の無能ぶりには、目を覆いたくなるようなお粗末な状態ですね。
    pec2さまがご指摘の一連の騒動は、偶発としては不自然ですから、仕組まれている可能性は高いですよね。
    再三、中医協を中心とした削れ・削れの発言は、財務省が先頭を切っていて、医師会は自分たちの下げ幅を最小限にするために、財源確保の次善策を考えだして、薬局叩きになっている構図ですよね。
    ただし、厚労省の医薬品部会の事務官僚の方は、思いのほかおくすり手帳や薬歴など、薬局の取り組みを評価してくださっているので、この官僚事務の方々が、薬局の低減を軽減してくると助かると思います。
    薬剤師会は、来夏の参院選での薬剤師議員の再選を狙っていますが、どこまで活躍してくれるのでしょうか。
    なかなかしっかりとしたお答えになっていなくて恐縮ですが、ぜひこれからも、鋭いご指摘をいただけたらと思います。
    コメントありがとうございました。

  5. どう反応したものか?日経メディカル・日経DI

    22日に公開された日経ドラッグインフォメーション・オンラインの記事「医師2005人に聞く「薬局薬剤師からの疑義照会で思うこと」」を読んで、文春の記事に続いてまたしても(苦笑)、苦々しい思いをした薬剤師も多いのではないのでしょうか。 (気乗りしないのですが)…

  6. 万引き犯に同情する。 より:

    万引きは窃盗。水増し請求は詐欺。
    万引きは100円、200円の少額でも逮捕されるのに、水増し請求は逮捕されないの?
    法定刑は両方とも懲役10年以下なのにおかしくないですか?
    万引きの再犯は実刑判決もあるのにさ。
    お薬手帳のメリットを訴えるにしても、犯罪者が自分を正当化する為に言っているようにしか聞こえない。

  7. まきのり より:

    万引き犯に同情する。さま
    コメントありがとうございます。
    ご指摘のとおり、万引きは窃盗罪、水増し請求は詐欺罪かと思います。
    そうした行為を確認された場合は、地域の警察へご相談ください。
    よろしくお願いします。

  8. 万引き犯に同情する。 より:

    そんなめんどくさい事はしないですね。
    今使ってる薬局は、薬剤管理料とらないですから。
    他のコメントや私の経験でも、水増し請求(詐欺)は大々的に行われているようです。
    会社からの業務命令であっても、万引きをしろと言われれば断ります。
    薬剤師にはその程度のモラルも無いと言う事でしょう。
    患者の為に役に立つから等とウツクシイ事を言われても、言っているのが犯罪者ですからねぇ。
    薬剤師として、同業の薬剤師の犯罪を止めさせる気もなさそうですし、本当に、調剤薬局の薬剤師っていらないですよね。

  9. まきのり より:

    万引き犯に同情する。さま
    ご叱咤、ありがとうございます。
    しっかりとしたかかりつけ薬局をお持ちでらっしゃるんですね!
    是非、そうした薬局を大切にされてください(^_^)