おくすり手帳のモチベーション

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4月に行われた平成28年度調剤報酬改定で、おくすり手帳の有無での薬歴管理料の点数が変更になりました。
皆さんご存知だと思いますが、おさらいします。
◎〜平成27年3月
 ・手帳あり → 41点
 ・手帳なし → 34点
◎平成28年4月〜
 ・手帳あり → 38点(調剤基本料1または4の場合)
 ・手帳なし → 50点
さて、平成26年〜平成27年の算定状況を見ると、全国平均で80%を超えているというデータがあり、それを根拠に
「おくすり手帳は十分、普及期を迎えた」
という判断もあり、平成28年度の調剤報酬改訂で、おくすり手帳の持参により患者負担が減額されるという方式が採用されたようです。
しかし、実際に4月になってみると、各薬局のおくすり手帳の持参率は、50%〜70%程度まで落ちたとみられています。
極端な薬局では40%台というところもあるようです。
実際、ボクの薬局でも、
 ・〜3月まで : 手帳あり 約85 %
 ・4月〜6月 : 手帳あり 約65%
と、約20%低下しました。意識はしていませんでしたが、そのくらいの患者さんにゲタを履かせていたことになりますね。

● 多かった「再発行」

持参率が落ちた大きな原因の1つは、「再発行」による算定が多かった、ということです。
昨年度までの制度では、おくすり手帳を忘れた場合でも、「次回、1冊にまとめる」という条件の元、手帳を再発行をすることにより「手帳あり(41点)」の薬歴管理料を算定できていました。
つまり、実際は「おくすり手帳を忘れていた」のに、再発行により「手帳あり」として算定されていた患者さんたちが、10%〜40%程度いらっしゃったということになります。
そうした患者さん方が、この4月から忘れてしまった場合には、今度はシールのみの発行となり「手帳なし(50点)」を算定させられている、というワケです。

● 患者さんのモチベーション

平成26年度調剤報酬改訂で、「おくすり手帳を発行すると20円高くなるから、持たない方がお得!」というネガティブ(?)キャンペーンが踊りました。それに敏感に反応した患者さん達は、今でも「おくすり手帳を持つと高くなる」というイメージを持っていたり、薬局に対する不信感があり、お薬手帳を持ちたがらない、という背景がありそうです。
(この春に「おくすり手帳を持つと40円安くなる!」というポジティブキャンペーンもありましたが、長続きはしませんでした。)
また、「おくすり手帳を持つと1回あたり40円ほど安くなりますよ」と説明して、持ってくれるような患者さんがいる一方で、「40円くらいか。じゃあ、面倒だからいらないよ。」と価格がモチベーションにつながらない患者さんが少なくないことも持参率があがらない一因と思われます。

● 薬局側のモチベーション

前回までの調剤報酬であれば、おくすり手帳持参率が高い方が「患者さんへの呼びかけ意識が高い薬局」という評価とともに「経営への貢献度も高い薬局」という評価も勝ち得ることになりました。
しかし、今回の改訂によって、おくすり手帳持参率があがることにより、減収となるわけで、「経営への貢献度」という評価につながらない可能性があり、今ひとつモチベーションにつながらないこともあるようです。

● それでも普及をさせていくためには?

こうした状況を踏まえても、多くの薬剤師が考えているように、調剤報酬の増減に関係なく「リスクの大きな患者さん全員に、おくすり手帳を持っていただきたい」という思いは変わりません。
(青年期までの風邪薬など、短期間・低リスクの患者・薬剤など、必要ない患者さんに一律に普及させるのは議論の余地があると思います。)
「1回あたり40円安くなる」が、モチベーションとならない患者がいる以上、1割負担の高齢者で「1回あたり10円安くなる」がモチベーションになりえないことは簡単に想像がつきます。
薬局ごとに「お便りをおくすり手帳に貼る」「スタンプを押す」「主治医・患者さんとの交換日記とする」などの工夫をされていますが、残念ながら薬局業界全体に広がる動きにはつながっていません。
残るは医療用マイナンバーへの拡大を含む、おくすり手帳電子化の動きに期待する向きもありますが、施工や普及まで、今しばらく時間がかかりそうです。
おくすり手帳普及への道はどこにあるのでしょうか。

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