どうなる?どう出す?リンゼス!

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便秘薬の歴史を変える!くらいの勢いで、製造販売承認後のプロモーションを行っていたリンゼス(リナクロチド、アステラス)ですが、

・発売開始前の出荷調整(過去記事参照)
・「便秘型過敏性腸症候群」(IBS-C)という聞きなれない(診断しなれない)適応症
・「食前服用」「1回2錠」「一包化できない」という制約の多さ

という3重苦(?)によって、完全に出鼻をくじかれています。(^^;)

トラブル多発? 下痢必発?

さて、ボクの薬局ではリンゼスの処方を受け付けてはいないので、周囲から噂を聞いた範囲ですが、「服用開始日にひどい下痢になり、『もう飲みたくない!』と相談を受けた」という声が多いようです。

どうやら「1回2錠では効きすぎるようで、1回1錠で十分効果がある」というのが、大勢の手応えのようです。

製造販売承認申請時の臨床試験では、1回0.5mg(2錠)服用で、下痢の副作用は13.0%(=7~8人に1人)と、それほど高くないように見えたのですが・・・。

下痢の原因は用法?用量?診断?

それでは何故、臨床試験時よりも下痢の副作用が多く出ているのでしょうか?
それについて少し考えてみたいと思います。

(1)用法

臨床試験において、

    食後投与の方が、空腹時投与よりも下痢・軟便の副作用が多かったために「食前投与」という用法

が設定された、という経緯があります。

さて、この「食前」ですが、臨床試験上の設定を見てみると・・・「朝食前」、しかも「夕食以降10時間以上絶食した空腹下の被験者」(リンゼスIFより)という設定になっています・・・。

これまで日本においては「便秘薬=就寝前服用」というイメージがついているため、
 ・「夕食前」や「就寝前」で処方されるパターンがある
 ・患者さんも「就寝前」に服用するパターンに慣れていて、就寝前に飲んでしまう
という、2つの原因がまず、考えられます。
「就寝前」ではもちろん、「夕食前」であっても昼食後からの絶食時間はせいぜい7時間程度、間食をしたとするともっと短くなります。
つまり、臨床試験時の「空腹時」よりも、条件が厳しくなっているのです。

また、仮に「朝食前」で服用したとしても、10時間以上絶食する方というのは、それほど多くはないのではないか?と考えてしまいます。
更に、朝食も服用30分後に摂取しています。朝の時間帯に、服用後30分間朝食を待てる人はどれほどいるでしょうか?

この絶食時間の2~3時間の差や、服用から食事までのが時間が、どのくらい下痢や軟便の副作用に影響しているのか?は不明ですが、臨床試験との条件の違い、という点で気をつけたい点です。

ちなみに、アメリカ版「LINZESS」(カプセル剤なんですよっ!)の添付文書では・・・

Take LINZESS on an empty stomach, at least 30 minutes prior to the first meal of the day

と、ちゃんと「1日の最初の食事の少なくとも30分前に」と、服薬時点が

(2)用量

さてさて、これまであまり語られてこなかった、リンゼスの用量についてです・・・。

「実は米国よりも多い用量で承認されている」と聞いたら、驚く方が多いのではないでしょうか?

アメリカ版「LINZESS」の添付文書では・・・

・Irritable Bowel Syndrome with Constipation (IBS-C)
 The recommended dosage of LINZESS is 290 mcg orally once daily.

・Chronic Idiopathic Constipation (CIC)
 The recommended dosage of LINZESS is 145 mcg orally once daily. A dosage of 72 mcg once daily may be used based on individual presentation or tolerability.

IBS-Cでは、日本の約6割である0.29mg(mcg=μg)が推奨用量です・・・。さらに、慢性特発性便秘(CIC)ではさらにその半分や1/4の用量も推奨されています・・・。

「あの大柄なアメリカ人の倍近い量を、小柄な日本人が飲んで下痢しないワケがないっ!」・・・て思いませんか?(笑)

さすがに、アステラスのMRにこの疑問をぶつけてみました。すると・・・

「日本人は、欧米人に比べて便秘しやすので、用量が多めに設定されています」

とのこと・・・。それはそうかもしれませんが・・・。(^^;)

まぁ、そんな訳で、用量の面でも下痢・軟便の副作用が起こりやすい用量になっていることが考えられます。

(3)診断

そして、3つ目の原因として考えらえるのが、診断です。
臨床試験では、「RomeⅢ基準によるIBS-C基準を満たした患者」が治療対象となっています。

この基準を抜粋すると・・・

・3カ月の間に、1カ月あたり3日以上にわたって腹痛あるいは腹部不快感が繰り返し起こり、これらが3項目[(1)排便によって症状が改善する(2)有症状時に排便頻度の変化がある(3)有症状時に便形状(外観)の変化がある]のうち2項目以上の特徴を持ち、かつ仮登録前6カ月以上前からIBS症状があった患者
・3カ月の間に、止痢剤、下剤、坐薬又は浣腸を使用していない排便のうち、兎糞状便又は硬便(BSFS1又は2)が25%以上であり、かつ軟便(泥状便)又は水様便(BSFS6又は7)が25%未満であった患者
・IBS症状発症後かつ仮登録前5年以内において、全大腸内視鏡検査又は注腸造影検査が実施され、器質的変化がみられなかった患者

ということになります。

想像してみると、結構キツい症状であることがわかりますね。

実臨床では、患者さんは、すでに何らかの下剤で治療を行っている患者さんがほとんどだと思われます。
そうすると、これらの1、2番めの条件の観察・診断がすでに難しくなっている場合が多く、実際にリンゼスが処方された患者さんのうち、IBS-Cではない患者さんが少なからずいる、と考えられるのではないでしょうか・・・。

ここで、先ほどのアメリカ版「LINZESS」の添付文書を見直すと・・・

・Irritable Bowel Syndrome with Constipation (IBS-C)
 The recommended dosage of LINZESS is 290 mcg orally once daily.

・Chronic Idiopathic Constipation (CIC)
 The recommended dosage of LINZESS is 145 mcg orally once daily. A dosage of 72 mcg once daily may be used based on individual presentation or tolerability.

慢性特発性便秘症(CIS)では、IBS-Cの半量~1/4量で十分、ということです。

つまり、非IBS、特発性便秘症の患者さんにとっては1回2錠(0.5mg)というのは、過量である、ということでもあります。

リンゼスの、このあたりの“さじ加減”がつかめるようになるまでは、まだ時間がかかるのかも(少なくとも「慢性特発性便秘症」への適応が通る今冬くらいまでは・・・)しれません。

気になる作用時間は?処方制限は?1回1錠で十分なの?

リンゼスの効果発現時間

さて、ではリンゼス服用後どのくらいで効いてくるのでしょうか?
あくまで、現時点で聞こえてくる反応を集めた結果ですが、「服用後3~6時間後」というのが、ボリュームゾーンのようです。人や症状によっても違いはあるかもしれませんが、意外と効果発現が早いと思いませんか?
トイレが探しにくい長時間移動や仕事の前に飲むのは、排便までのタイミングを掴んでからの方がよいかもしれませんね!

処方制限と用法・用量

薬価基準収載である2017年2月から1年間、つまり2018年2月末までは14日が投与日数の上限となります。

し・か・し・・・、上で述べたように、「1回1錠でも十分効果がある」ようです。
1回2錠×14日分=1回1錠・・・ゴニョゴニョゴニョ・・・。

さて、一時は品薄がアナウンスされていたリンゼスですが、現在では、流通量も安定しているようです。
これから少しずつ処方が伸びていくのでしょうか?

今月には、オピオイド誘発性便秘症(OIC)治療薬「スインプロイク」(ナルデメジン、塩野義)も発売になります。
便秘をめぐる話題がホットになるかもしれませんね!

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