ベルソムラの感想とよくある誤解

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オレキシン受容体拮抗・睡眠改善薬「ベルソムラ」(一般名:スボレキサント(MSD))の発売(11月26日)から、約2週間が経過し、患者さんの評判が聞こえてきました。
それと同時に、医師や薬剤師といった、医療関係者からベルソムラに関する誤解も多く聞かれてきており、まとめてみたいと思います。
●良かったという感想
・40代男性;ゾルピデム5mg(先発品名:マイスリー5mg)からの切り替え
ゾルピデムでは「眠れる日」と「眠れない日」がハッキリ分かれてしまったが、ベルソムラではほぼ毎日眠れるようになってきた。ただし、次の日の昼間にやや眠気が残る。
・60代女性;エチゾラム0.5mg(先発品名:デパス0.5mg)との併用
エチゾラム単剤で、熟眠感不足のためベルソムラ15mgを併用。
寝つきが良くなり、ぐっすり眠れている感じがする。
ただ、夢を多く見るようになっていて、それが疲れる場合もある。
●良くなかったという感想
・60代女性;ニトラゼパム5mg(先発品名:ベンザリン5mg)からの切り替え
ニトラゼパムでの睡眠改善効果が期待できずニトラゼパム中止、ベルソムラ15mg服用。
一応眠りにつくが、ずっと夢うつつの状態が続いており、まったく熟睡出来ない。
→結果、ベルソムラを中止し、ニトラゼパム5mgへ戻す
という3例をご紹介します。
ベルソムラの売りである「自然な眠り」が、良い面・悪い面の両方に表れているように感じますね。
服用されている患者さんからの評判をまとめると、
・「入眠がよくなった」「気持よく眠りに入れる」といった意見が多い
・入眠時の「すっ」と落とされる感じが少ない
・「夢を見る」「眠りが浅い」といった、REM睡眠イベントの評価が多い
・「眠気の持ち越し」は少ないが、「翌日に眠気を感じる」ことが多い
という評価になりそうです。
では、続いてベルソムラのよくある誤解です。
●誤解1:ベルソムラは即効性がない
     ベルソムラは効き目が出るのが遅い
     ベルソムラは数週間飲まないと効果が出ない
…完全に、メラトニン受容体作動・睡眠改善薬「ロゼレム」(一般名;ラメルテオン・武田薬品工業)と勘違いされていますね、はい。
インタビューフォームの第Ⅲ相試験でも、ベルソムラは第1日夜から、入眠時間の短縮・睡眠時間の延長の効果が得られています。また、薬理作用から考えても、オレキシン受容体へのオレキシンの影響を遮断するため、効果はすぐに表れることが推察されます。
実際に、服用した患者さんからも、レスポンスは良い評価を得られています。
ただし、半減期が10時間(日本人)であり、約24時間ごとの投与となるため、投与開始3日目に定常状態に達するため、3~4日目頃から、睡眠改善効果が安定・実感されるという患者さんも少なくないようです。
●誤解2:他の睡眠薬との併用はできない
これは、ある意味誤解ではありません。
添付文書等にも「他の不眠症治療薬と併用したときの有効性及び安全性は確立されていない。」としっかりと書かれています。
しかし、特にベンゾジアゼピン系睡眠薬からの切替時は、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の中止による反跳性不眠のリスクもあるため、一時的に併用をすることは可能だと思います。
GABA系賦活作用とオレキシン受容体拮抗作用という別系統の薬剤であるため、治療に有用であることも示唆されています。
ただし、健康保険上(特に医師側レセプト)では注意が必要で、ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系(Z薬;マイスリーなど)とベルソムラを併用する場合には、「睡眠薬切り替えのため」「熟眠感改善のため」などといったコメントが求められることになると思います。
●誤解3:既存睡眠薬からの切り替えで使える
ベンゾジアゼピン系やZ薬からの切り替えでも効果がでる方が少なくないのが実情だとは思います。
特に、抗不安作用を持たない、Z薬(マイスリー・アモバンなど)からの切り替えは比較的ハードルが低いと思います。
しかし、ベンゾジアゼピン系、特に抗不安作用の強い睡眠薬からの切り替えでは、反跳性不眠に陥りやすいので、推奨はされません。
●誤解4:作用時間が10時間と長めである
これは、日本人におけるスボレキサント(ベルソムラ)の半減期が10時間というところからきている説だと思われます。
確かに、血中濃度半減期は10時間ですが、体内のオレキシン濃度は明け方に一気に上昇するため、スボレキサントの血中濃度が低下し、オレキシン受容体拮抗作用の下落する7時間後には覚醒するため、効果は7~8時間程度であると考えられています。
●誤解5:ふらつきの副作用が少ないため、高齢者向き
これは、MSD社の販売のウリになっている内容です。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬と異なり、筋弛緩作用はないため、フラつきが起こりにくいとされています。
しかし、半覚醒状態での歩行は、高齢者でなくてもふらつきが起こりやすく、またインタビューフォームでは治験実施時にふらつきの増加が認められているので、注意が必要です。
というわけで、発売間もないベルソムラ服用患者の感想と、よくある誤解についてまとめでした。

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