ベルソムラ・日米添付文書読み比べ

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さて、いよいよ本日、オレキシン受容体拮抗薬・ベルソムラ(スボレキサント)が発売になりました。
発売元のMSDさんからは、患者指導箋として、
・翌日への眠気持ち越しの可能性
・食事と同時、または食後すぐに服用しないこと
などが書かれたものをいただきましたが、具体的な内容は(いつものことながら)記載がありませんでした。
添付文書を見ても「本剤は就寝の直前に服用させること。また、服用して就寝した後、睡眠途中で一時的に起床して仕事等で活動する可能性があるときは服用させないこと。」として、具体的な記載はありません。
そこで、アメリカ版BELSOMRAの添付文書と比較してみることにしました。
※以下の記事は、あくまで、米国版BELSOMRAとの比較であり、国内では日本で承認されている「ベルソムラ錠」の添付文書の内容が基本になります。
※追記:アメリカ版添付文書は、次のアドレスからダウンロードすることができます。
1.Merck社サイト
2.DailyMed(USA)
ちなみに、パッケージは、こちら。米国版の方がカッコイイというか、日本版は定番のデザインですね。
image.jpgnew_img_004_l.jpg
続いて添付文書(PRESCRIBING INFORMATION)の比較です。
1.用量・用法(注意含む)
【ベルソムラ】
通常、成人にはスボレキサントとして1日1回20mgを、高齢者には1日1回15mgを就寝直前に経口投与する。
本剤は就寝の直前に服用させること。また、服用して就寝した後、睡眠途中で一時的に起床して仕事等で活動する可能性があるときは服用させないこと。
【BELSOMRA】
最小有効量を使用すること。10mg量が推奨される。
1晩1回のみ、服用後30分以内に就床、起床予定時刻7時間以上前に服用。
10mgで認容性があり効果不十分の場合、増量出来る。20mgまでの増量が推奨される。
2.食事の影響(注意事項)
【ベルソムラ】
入眠効果の発現が遅れるおそれがあるため、本剤の食事と同時又は食直後の服用は避けること。
【BELSOMRA】
食直後に服用した場合、効果発現時間が遅延することがある。
3.特殊集団
【ベルソムラ】
本剤20mgを不眠症患者に反復投与した際の定常状態でのスボレキサントのC9hrは、低体重患者 (BMI:18.5kg/m2未満、6例) で0.171μM、標準BMI (18.5kg/m2以上、25kg/m2未満、139例) の患者で0.323μM、前肥満患者 (BMI:25kg/m2以上、30kg/m2未満、94例) で0.384μM及び肥満患者 (BMI:30kg/m2以上、42例)で0.353μMであった。
【BELSOMRA】
非肥満患者よりも肥満患者の方が効果が強く、また男性よりも女性の方が効果が強い。
特に、肥満女性患者に投与する際には、増量前に副作用について十分考慮すること。
といった具合です。
用法については、米国版の方が「服用後30分以内に就床」と記載されていますね。
これは、Tmax=1.5時間のスボレキサントの動態から、妥当な表現だと思います。
ちなみに、Tmax=0.8時間のマイスリー(ゾルピデム・アステラス)では、米国版(AMBIEN)では「immediately before bedtime」となっており、Tmaxの短さを表していますね。
また、7時間以上睡眠が取れない場合には服用すべきではない、とされています。
T1/2=12.5時間±2.5時間ですので、こちらも妥当なラインかと思います。
また、用量については、米国版が10mgスタートを推奨しているのに対し、ベルソムラは20mgから投与開始可になっています。
背景の1つとしては、日本の既存睡眠薬が、いずれもオーバードーズ気味になっていることが挙げられるようです。
マイスリーも体格の大きな米国人と同じく10mgが通常用量とされていますし、ルネスタ(エスゾピクロン・エーザイ)でも米国では1mgスタートが推奨されていますが、日本では高齢者1mg、通常2mg)。アモバン(ゾピクロン)に至っては…。
また、3.の特殊集団でも挙げられていますが、スボレキサント自体、脂溶性が高いためか、肥満患者において、血中濃度が高くなる傾向にあるようです。
つまり、BMI30以上の肥満体質が1/3いるといわれる(※要出典^^;)米国では、より低用量で効果が得られやすい傾向にあるのかもしれませんね。
逆に肥満体型の方が少ない日本では、そうした注意事項は、必要なかったのかもしれません。
というわけで、ベルソムラの服薬の目安としては、上記のような内容を踏まえると、イメージしやすくなると思います。

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コメント

  1. 永田ゆかり より:

    私はロヒプノール2mgから、ベルソムラ20mgに変更して初日服用後、副作用に記載の強い眠気、脱力、疲労感はもとより、血圧低下、低血糖軽いショック状態が続いています。
    服用は1度で中止しました。
    注目は、上記の症状は客観的にも分かり得ますが、加えて「悪夢」を見続けました。
    この、悪夢が副作用に記載があったことが注目すべき点とおもいます。
    1~5%未満の危険率は極めて高いものとおもいます。
    日本、先行発売で情報が少ないという事は危険だとおもいます。
    高齢者に勧めたいということもあるようですが、かなり、慎重に投与した方が良いかとおもいます。
    私はたった一回の服用で、一週間経っても立ちくらみ、血圧低下、低血糖症状が残り点滴治療を行っております。

  2. まきのり より:

    永田さま
    コメントありがとうございます。
    また、副作用について、おツラい体験をお話いただき、ありがとうございました。
    永田さまからご指摘がありましたように、ベルソムラ(スボレキサント)について、軽微ではない副作用が明らかになりつつある状況だと感じています。
    永田さまも同様の状況であったかと思いますが、サイレース(フルニトラゼパム)を含むベンゾジアゼピン系睡眠薬からの切り替えにおいて、反跳性不眠や悪夢・不安感・不穏といった、精神症状で悩まれるケースが多いように思います。
    ベルソムラ発売前から、発売元であるMSDは
    ・BZD系睡眠薬使用者には使用しない
    ・BZD系睡眠薬は急に中止しない
    ・2次性不眠(統合失調症・躁うつ病など、他疾患を原因とする不眠症)には適応がない
    =新規の軽度不眠症の患者から使ってほしい
    と謳ってはいました。
    しかし、現場MRとしては、医師に紹介をする際に、売上に相反するような情報は小声で提供することとなり、また、医師もBZD系やスボレキサントの特性を良く理解しないまま切り替え・併用したり、既存患者からの眠れないという訴えに対して安易に追加・切り替えを行ったために、現在のような結果を招いていると思います。
    ベルソムラのオレキシン受容体拮抗作用というのはとてもユニークであり、とても期待のもてる機序だとは思います。
    しかし、その薬の使用により(誤った切り替え方を容認している点も含み)、かえって健康を損ねてしまうのは、決して見逃してはならないことだとも思います。
    永田さまの1日も早いご回復をお祈りしています。
    また、気になったことや、回復の経緯などについて、お知らせいただければありがたいです。
    どうぞご自愛ください。