ベルソムラ長期投与解禁の憂慮

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ご存知の方が多いと思いますが、12月1日から、オレキシン受容体拮抗薬・ベルソムラ(スボレキサント、MSD)が長期投与解禁になります。
ボクが心配することではないのかもしれませんが、長期投与解禁後、これまでの数倍処方量が増えることにより、3ヶ月〜半年くらいはベルソムラのトラブルが急増するのではないか?と心配しています。
そもそも、この睡眠薬に関しては、睡眠薬について十分な知識を持たないプライマリの医師には使ってほしくない(=MSDはプライマリの医師に売り込むんじゃない!)と思っています。
まず、今後数ヶ月でボクが予想しているトラブル3つです。
1.急なBZD系・非BZD系からの切り替えによる反跳性不眠
2.うつ・不安症状の併存する患者さんへの投与による悪夢の副作用
3.感冒時のクラリスロマイシン投与による副作用・インシデントの発生
1.に関しては、すでにあちこちで話題になっていて、MSDもリーフレットなどを使って説明しているようですが、プライマリや一般内科医の先生方の認識はまだまだ甘いと思います。
ゾルピデム(マイスリー)や、ブロチゾラム(レンドルミン)から、一気にベルソムラへ切り替えて、「眠れない!」「この薬は二度と使いたくない!」と駆け込まれることが必死です。
上でMSDの悪口を書いていますが、スボレキサント自体は大変素晴らしい睡眠薬だと思っています。
それ故、正しく処方しないDr.のせいで、過小に評価されてしまっている現状が余計に腹立たしく感じています。
できれば、最初はBZD系・非BZD系を併存し、ベルソムラを10㎎からスタート、1〜2週間でベルソムラ以外を1/4ずつ減量+ベルソムラをDoseUPして、スイッチできるような切り替えプロトコルでケアできるDr.のみ処方すべきだと思います。(…無理でしょうね(-_-;))
2.に関しても、1.に似ています。
ベルソムラはオレキシン系、つまり覚醒系を抑制します。
非BZD系であってもGABA系、抑制系に働きかける睡眠薬とプロファイルは大きく異なります。
抑うつ傾向・不安症状のある方は、原発性不眠とは異なり、二次性不眠であることが多く、ベルソムラによってREM睡眠の延長が起こり、内在する不安が悪夢という形で顕在化することが懸念されます。
「スボレキサントは、依存性がないから、不眠のファーストチョイス」と短絡的に考える処方は控えていただきたいと思います。(…これも無理ですね、はい)
3.が最も懸念される事態です。
日本のDr.も患者さんも抗菌薬が大好きです。
これまではベルソムラが処方されているのは、限られた医療機関でしたが、長期投与が解禁となり、プライマリのDr.も処方してくるようになります。
お薬手帳でしっかり管理出来ていれば良いのですが、院内処方などでは、まだまだ記載が少ないところもあります。
風邪を引いて、クラリスロマイシンが併用されると、CYP3A4の阻害により、スボレキサントの血中濃度が2〜3倍に増加することが懸念されています。そのことによる作用としては、傾眠・倦怠感等ですが、やはり、副作用が起こることは好ましくありません。
また、クラリスロマイシン以外にも爪白癬へのイトラコナゾール投与も心配になります。
これらの心配が杞憂で終わるといいのですが…。
MSDさん、しっかり啓蒙活動、よろしくお願いします!!
ボクたち薬剤師も、患者さんを守るため疑義照会頑張りましょう!

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