疑義解釈・その3に異議あり!!

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ついに、待ちに待った「疑義解釈(その3)」が発表になりました…なりましたがっ!!
その内容は、厚労省および、その周辺のメンバーの慌てっぷりを絵に描いたような、矛盾に満ちた内容であったと言わざるを得ません。

● 疑義解釈 その3

【かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料】
(問1)かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準である、「医療に係る地域活動の取組に参画していること」について、どのように考えればよいか。
(答)「医療に係る地域活動の取組に参画していること」の要件についての考え方は、次のような活動に主体的・継続的に参画していることである。
・地域包括ケアシステムの構築に向けた、地域住民を含む、地域における総合的なチーム医療・介護の活動であること。
・地域において人のつながりがあり、顔の見える関係が築けるような活動であること。
具体的には、地域における医療・介護等に関する研修会等へ主体的・継続的に参加する事例として以下のようなことが考えられる。
①地域ケア会議など地域で多職種が連携し、定期的に継続して行われている医療・介護に関する会議への主体的・継続的な参加
②地域の行政機関や医療・介護関係団体等(都道府県や郡市町村の医師会、歯科医師会及び薬剤師会並びに地域住民に対して研修会等サービスを提供しているその他の団体等)が主催する住民への研修会等への主体的・継続的な参加

(問2)上記の活動のほかに、「医療に係る地域活動の取組に参画していること」に該当するものはあるのか。
(答)本来の地域活動の取組としては、上記のような考え方に基づく活動に薬局の薬剤師として積極的に参画することが求められるが、以下のような事例も当面の間は要件に該当すると考えられる。
なお、薬局として対応している場合は、届出に係る薬剤師が関与していることが必要である。
・行政機関や学校等の依頼に基づく医療に係る地域活動(薬と健康の週間、薬物乱用防止活動、注射針の回収など)への主体的・継続的な参画(ただし、薬局内でのポスター掲示や啓発資材の設置のみでは要件を満たしているとはいえない。)
・行政機関や地域医師会、歯科医師会、薬剤師会の協力のもとで実施している休日夜間薬局としての対応、休日夜間診療所への派遣
・委嘱を受けて行う学校薬剤師の業務 等

(問3)上記の考え方を受けて、かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準に適合していたが、本年4月には施設基準の届出を受理されていない又は届け出ていなかった保険薬局について、本年5月以降のかかりつけ薬剤師指導料等の算定の取扱いはどのようになるのか。
(答)今回示した考え方により、かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準に適合する場合には、施設基準を届け出ることで、かかりつけ薬剤師指導料等の算定は可能である(それに伴い、基準調剤加算の施設基準に適合する場合も同じ)。また、本年5月に届出を行った場合は、届出受理日から算定することは差し支えない(ただし、6月以降に届出を行った場合については、通常どおり、届出日の属する月の翌月1日から算定する取扱いとなる)。

 

● 食い違う疑義解釈

3月31日に発表された「疑義解釈 その1」では、このように規定されていました。

(問47;答)地域の行政機関や医療関係団体等が主催する住民への説明会、相談会、研修会等への参加や講演等の実績に加え、学校薬剤師として委嘱を受け、実際に児童・生徒に対する医薬品の適正使用等の講演等の業務を行っている場合が該当する。(後略)

つまり、3/31時点では「住民への説明会、相談会、研修会等への参加や講演」と規定されていたにも関わらず、今回、突然「地域ケア会議」が要件に加えられたわけです。
以前の記事(疑義解釈の疑義解釈が欲しいけど…)でも書きましたが、
「住民への説明会、(住民への)相談会、(住民への)研修会」
と読むか、
「住民への説明会、(住民への)相談会、(医療関係者の)研修会」
と読むかにもよるのですが、「会議への参加」が含まれていたと読むことは、ほぼ困難であったと思います。
更に驚きであるのが、その「読み取れない」条件が、算定要件の最上位にランク付けされていることです…。
これは、疑義解釈 その2(4/25)がこの間に発表されているわけですから、内部の調整ミスだと思われますし、非常に問題であると思います。
 
そして、今回、ウヤムヤのうちに追加されたもう1つの大きなキーワードが「継続的な参加」です。
「疑義解釈 その1」では「実績」とされていた部分です。「実績」という「過去の1時点での取り組み」と、「継続的」という「過去〜現在までの一定時間での取り組み」では、その意味に大きなギャップがあることが明白です。
この違いも非常に問題です。
 

● 「加え」て、学校薬剤師も…

疑義解釈1が発表された際に「加え」の解釈が「AND」なのか「OR」なのか、議論を読んだ学校薬剤師ですが、今回の疑義解釈3では「当面の間は」という注釈付きの承認条件となりました。
 
つまり、疑義解釈1の「地域活動」の解釈というのは、「暫定的であった」と言わざるを得ない状況だと言えます。
この辺りにも、内部調整がうまく行われていないことがにじみ出る結果となっています。

● 訴訟に発展してもおかしくない?

かかりつけ薬剤師の施設基準は、(1)基準調剤加算の施設基準、(2)基本調剤料2および3から、調剤基本料1への「復活ルート」、という2つの要件にも関わります。
今回の疑義解釈3で、「学校薬剤師」に加え、「薬と健康の週間」「薬物乱用防止活動」「休日夜間薬局」「休日夜間診療所への派遣」は、「当面の間」は活動として認められる、という解釈が示されました。
特に「薬と健康の週間」「薬物乱用防止」については、地域によっては「受理されなかった」との声が聞こえてきていた条件です。
(2)の調剤基本料1への復活ルートとしての「かかりつけ薬剤師」は、100名/月という高いハードルがあるため、それほど深刻ではないかもしれませんが、基準調剤加算の方は報酬に直結するとても深刻な問題です。
NPhA発表(日経DIオンライン記事)によれば、改定前に基準調剤加算1または2を算定していた薬局が約87%ありましたが、改定後は基準調剤加算を算定している薬局は約23%に低下したそうです。
調剤基本料1の薬局は改定前・約95%→改定後・約70%とのことですので、単純に比率だけを当てはめる(87%/95%)と、約40%の薬局が「基準調剤加算をあきらめた」という予想ができます。
基準調剤加算の要件は「品目数」「開局時間」「24時間調剤体制」「麻薬免許」「在宅」「管理薬剤師の勤務年数」「かかりつけ薬剤師」「後発医薬品」ですので、このうち、「かかりつけ薬剤師」が受理されなかったために、基準調剤加算を加算できなかったという薬局がある可能性があります。
もし、かかりつけ薬剤師の施設基準届出が、疑義解釈3に記載されている内容で、4月中に不受理になっていた場合、本来は算定できていた基準調剤加算の1ヶ月分(正確には、4/1~5/19分)が算定できなかったことになるわけです。
1日で100枚受け付けている薬局を想定すると、100枚×320円×25日(稼動日)=80万円/月になりますので、「損害賠償請求」を起こすことも十分考えらえる金額です。
薬剤師の地域包括ケアへの誘導を行いたいのは十分理解できますが、せっかく患者さんとの信頼関係を構築できる可能性のある「かかりつけ薬剤師」を、そのリンク先に結びつけてしまうこと、そして、疑義解釈の整合性があまりにもお粗末であることに、改めてがっかりさせられた疑義解釈3でした。