週刊現代の記事を考える

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先週発売の「週刊現代」6月11日号の特集「医者に出されても飲み続けてはいけない薬」に続き、今週号・6月18日号でも「有名な薬でも医者の言いなりに飲み続けるのはこんなに危険です!」と題して特集が組まれています。
Google検索で「週刊現代」と入れるだけで「クレストール」とサジェスト(予測候補)が表示されるほどクレストールへの波及効果があり、塩野義・アストラゼネカのMRは相当焦っているようです。

● 敏感な患者さんは反応

先週から数社のMRさんと一連の記事について話をしていますが、MRさんの中では
 「うちの○○が入っていなくてよかった」
 「○○を拒否された患者さんがいたようだ」
などの情報が飛び交っているようです。
ただし、どの薬についても多少の影響はあったとしても、この1ヶ月程度で沈静化し、(先のクレストールも含め)大きな影響はない、と見ているようです。
また複数のMRさんから聞いた印象をまとめると、各医師も「迷惑な記事だ」とはしながらも、「投薬を中止するようなことはしない」との対応のようです。
まぁ、それはそうでしょうね。
ただし、患者さんの中には敏感な方がいらっしゃって、そうした患者さんは「○○の処方を中止してほしい」という申し出があり、治療に大きな支障がなければ、一時的に休薬をされる医師もいるようでした。

● 一定の評価ができた第1弾

さて、週刊現代の記事を読んでいくと、6月11日号の第1弾と、6月18日号の第2弾の内容に変化があることがわかります。
第1弾では、非常に乱暴な切り口ではありますが、
 ・降圧剤でわざわざコストの高いARBを第一選択薬にする積極的な理由はない
 ・脳梗塞の1次予防への抗血小板薬の有効性への疑問
 ・糖尿病治療薬の副作用リスクを考慮しない不用意な処方
 ・コレステロール改善薬の必要性と副作用への疑問
 ・ドネペジルの低用量使用時にレセプトが通らない問題
 ・副作用のリスクを考慮しないSSRI・抗精神病薬・睡眠薬の安易な処方
 ・NSAIDsの副作用リスクの軽視と安易な処方
などなど、ボクとしては、100%賛成ではないしても、一定の理解ができる内容になっています。
特に第1弾の最後は、

医者や病院がすべての薬の副作用や危険性を把握しているとは限らない。
(略)何も考えずに処方した薬を飲み続けることで、寿命を縮めることだってある。
まずは自分のお薬手帳を見て、なんとなく容易に飲み続けている薬がないか確かめてみよう。
そのうえで、信頼できる医者と相談しながら、飲み続けるべき薬、やめてもいい薬を仕分けする-それが健康への第一歩だ。

と締めくくられており、「ポリファーマシー」や「不適切処方」の解消につながるような問題提起がなされており、評価できる内容になっていると思います。お薬手帳について触れられているのに、そこに薬剤師が併記されていないことが非常に不満ではありますが…
ただし、どうもMRさんからの聞き取りの雰囲気からして、この第1弾から医師達は「ふん、どうせ週刊誌のネタでしょ?オレは、ちゃんと考えて処方してるから関係ないよ」という捉え方のようですが。
(そういう自戒のない医師こそが、この記事のターゲットだと思いますけどねー

● 第2弾の黒幕MRは?

一方で、6月18日号に掲載された第2弾は、ガラッと印象が変わってしまいました。
ライターが変わったのか、第1弾の反響を受けて2匹目のドジョウを狙いにいったのか、わかりません。
まず、「売上上位でも飲まないほうがいい薬」として、2014年の売上高上位30製品のうち、実に20製品を「飲み続けることが危険」「飲む意味が見出せない」と、名指しでの評価になっています。
次に、記事を作るにあたって、大きな影響があったのではないか、と推測されるのが、匿名で登場している「准教授」「開業医」「MR」の3名の存在です。
ここに出てくる、リバーロキサバン(イグザレルト)へのコメントを見ていると、この「准教授」は、まぁ「カラッポ」です(笑)
「開業医」が欲がありますが、まだ、人間的な部分があると感じます。
そして、気になるのは「MR」の存在ですね。この人物は「かなりヤり手」のMRと見受けられます。この週刊誌の記事の中でも、医師をうまく懐柔しながら、自分の立場をキチンと主張しています。この座談会のキーマンと言っていいでしょう。
さて、このMRがどこの会社のMRなのか、が気になるところですが…
 ・売上ランキング30品目にランクインしながら、「なぜか」飲まないほうがいいと認定されていない薬?
  (アバスチン、リリカ、レミケード、リュープリン、ネスプ、プログラフ、セレコックス、キプレス、エンブレル、アリムタ)
 ・第1弾では「ARBをサイアザイドやACE阻害薬に変えれば」という話が、第2弾では「ARBをサイアザイドやカルシウム拮抗に変えれば」とカルシウム拮抗薬が加えられている
 ・(スタチンの)「副作用は添付文書に書いてある」という。
ということから考えると、P社なのでは?と邪推してしまいます。えげつなさもP社っぽい感じです(笑)
ただし、(ARBのくだりで)「弊社の薬を推薦してくれる大学病院の先生は多い」という話も掲載されており、P社ではARBは後発品しかないので…?という疑問もあります。
いずれにしても、医療という人の健康を「金儲け」として見ている医療者・業界関係者からは面白くない記事であることには間違いありませんし、それに巻き込まれる、真摯に取り組んでいる医療者からは本当に迷惑な記事であります。
こうした記事にで不安に感じた患者さんを「適切にフォロー」できるような薬剤師が、理想の姿だと思いますが、門前の医師に気を遣ってモノが言えない実情と、知識不足の薬剤師の多い現在では、なかなかキビしいのが実情ではないでしょうか。
それでも、気がついている薬剤師が勇気を持って「不要な薬は減らす」「必要な薬は、副作用の危険性を十分説明した上で、服用をすすめる」といった行動をしていくことが大切だと思います。
…にしても、今回の記事にある「医師は風邪薬を飲まない」という言葉ですが、ウチの門前のDr.は、風邪を引くとすぐに「PL・ムコダイン・メイアクト」の組み合わせを自分で飲んでます…。週刊誌以下のヤブなんだなぁ、と実感しました(笑)