H28調剤報酬改定のゆくえ(1):リフィル処方箋の前に…

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すでに話題になっている通り、7月22日に行われた「中央社会保険医療協議会」(中医協)にて、平成28年度調剤報酬改定について議題にあがりました。
以前から、残薬対策等の一環として、6月に閣議決定された「規制改革実施計画」で、リフィル処方箋の導入や分割調剤の検討がなされていました。
今回の中医協の内容では、リフィル処方箋に対して、日本医師会および健保連から疑問の声があがりました。
しかし、このリフィル処方箋は医療費抑制の効果は非常に大きいと思っています。
60日~90日という長期間にわたり、飲み残しが発生したり、症状が改善して薬剤が不要になるケースがままあります。
そして余ったシップや、解熱鎮痛剤、睡眠薬などを、家族や近所・知人に分けてしまうケースもよく耳にする事例です。
また、医師に怒られるのを恐れて、余ったクスリを捨ててしまう患者さんも少なくありません。
逆に、鎮痛剤などが過量摂取してしまうことで、足りずに、60日分の処方であっても、50日程度での来局が続く、といったことも、まま見受けられます。
これらの患者さんは、医師にそのことが知れてしまうと、怒られると思い、医師に相談することができません。
薬局でなら相談できるのか?といわれれば、そうもいかない方もいらっしゃるかもしれませんが、これまでの取り組みから、相談しやすい雰囲気づくりをしてきたつもりですし、実際に残薬調整の多くを薬局で担っています。
(1)残薬調整による医療費抑制
(2)適正剤形など処方変更提案、早めの受診勧告による症状悪化の防止
(3)過量服用防止による事故防止
という点で、必ず現状の長期処方よりもメリットが大きいと思います。
しかし、ボクも、以前の記事「リフィル処方箋の時代は来るのか?」に書きましたが、リフィル処方箋が可能になるには、超えなければならないハードルがいくつかあるかと思います。
(1)医師=薬剤師間の「疾病名」「臨床値」の共有
患者さんの体調を、聞き取り・目視だけで判断し、リフィル処方を中止して、受診勧告をすることは、かなり困難です。
特に多剤併用中や、複数適応のある薬剤、適応外処方の患者さんでは、体調確認が困難になります。
京都大学大学院のように院外処方箋に臨床検査データを記載していただくのが理想的ですが、そこまでいかずとも、医師は薬剤師からの照会の際は、疾病・臨床データを開示するよう務める等の対応を望みます。
ぜひリフィル処方箋の採用に先立ち、これらのデータを薬剤師が入手できる状況を整えていただきたいと思います。
(2)バイタルサインチェックの合法化
ファルメディコの狭間先生が提唱されているバイタルサインチェックですが、現在は「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」に対しての「日本病院薬剤師会による解釈と具体例」に基づき、可能とされています。
しかし、あくまで解釈の段階であり、法令・通知に基づいた行為ではありません。
リフィル処方箋が可能になる際はもちろん、現時点においても、効果判定・副作用モニタリングは薬剤師の重大な責務と言えると思います。
特に、肝機能値検査や血清カリウム値、血中濃度などの定期的な検査の実施の有無が義務付けられている薬剤であっても、その検査を医師が行っているかどうか、薬剤師は確かめようがないのが現状なのです。
そうした、いい加減な医師から患者さんを守るためにも、上記(1)の臨床検査値の提示とともにバイタルサインのチェックが可能になることを望みます。
(3)残薬調整の権利移譲
現在、残薬の調節を行う場合には「処方の変更」扱いとなり、医師の専任事項である「処方権」であるため、「処方医の同意を得て」(=疑義照会をして)処方の変更を行うことになります。
この場合、医師が診察中で手が離せない場合や、勤務時間外の場合、疑義照会ができないケースがあり、その場合は患者さんにお待ちいただいたり、再度来局していただくことになります。
また、疑義照会を行って残薬を報告したとしても「次回、こっちで変更するからそのまま出しておいて」と、医師(ひどい場合は、事務や薬剤部のところで突き返されるケースもあるのですが)から変更を拒否されると、残薬調整はできないことになります。
これは、患者さんにとって大変不利益なことですし、薬局にとってもプレッシャーのかかる手順です。
定期薬の残薬の調節に関しては、「医師への残薬の内容・結果・今後必要と考えられる対応の『報告』を義務」として、薬局に日数軽減調整を処方権の例外(ちょうど、後発医薬品の代替調剤のような考え方)として認めてもらいたいと思います!
※タイトルを H28調剤報酬改定のゆくえ(1) に変更しました(2015.7.25)

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