H28調剤報酬改定のゆくえ(2):後発医薬品のトピック

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前回のリフィル処方箋に続き、今回は後発医薬品(ジェネリック)をめぐる動きです。

(1)後発医薬品調剤率(数量ベース)

後発医薬品については、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太方針)にて、2017年(平成29年)までに70%以上、2018~2020年(平成30~32年)までに80%以上を目指すという目標が掲げられています。
現時点での後発医薬品の調剤率(数量ベース)は59%程度(厚労省・最近の調剤医療費 平成27年2月号)とみられ、少しずつ上昇してきています。
調剤薬局の後発医薬品調剤率は、各種調査を総合すると
 ・後発医薬品医薬品体制加算1(18点・55%以上):30~35%程度
 ・後発医薬品医薬品体制加算2(22点・65%以上):30%程度
 ・算定なし:35%程度
となっており、6割以上の薬局で55%以上の後発医薬品調剤ができているようです。
一方で、算定なしになっている薬局については、薬価差益を確保するために、後発医薬品への変更率がグンと下がってしまう傾向にあるとも言われています。
今回の改定では、この体制加算対象の調剤率は70%に引き上げられる、との見通しです。
これが、体制加算1に相当するのか、体制加算2に相当するのかわかりませんが、調剤報酬のマイナス改定がチラつかされている現在、甘い期待はできないと思います。
現在、医療費は年間40兆円超、そのうち薬剤関連費は約2割にあたる8兆円と言われています。
そのうち、ジェネリックへの置き換え率を80%に引き上げることで、1.3兆円の削減につながる、という試算が出ています。
個人的には、算定しない薬局(算定できない薬局)が、先発品に流れてしまうのではなく、少しでも後発医薬品シェアを伸ばせる方向にいく施策があると、全体的な圧縮につながると思っているのですが、どうなるでしょうか。

(2)後発医薬品調剤率(金額ベース)

現在の数量ベースでの計算方法では、単価が安く、数量が稼げる医薬品を積極的に切り替えることで基準値をクリアすることができることから、単価の高い医薬品についても切り替えを促進するため、金額ベースの目標導入も話題に出ているそうです。
現在の後発医薬品の金額ベースは15%程度で、薬剤費8兆円のうちの純粋な薬剤料、約6兆円のうち、後発品は1兆円程度と考えられます。
ということは、金額ベースでの圧縮率(上記の試算「後発医薬品率80%達成で、1.3兆円削減」)は、2倍超の伸展を目標としている、ということです。
ということで、金額ベースの算定についても頭においておく必要がありますが、金額が高い医薬品のジェネリックに関しては、本来、患者さんの経済的負担の軽減につながることでもありますので、本来は、こうした施策がなかったとしても、患者さんに積極的に紹介し、医師に提案できる薬剤師でありたいですね。

(3)後発医薬品の安定供給

ジェネリック調剤率が80%に到達した場合、ジェネリックメーカーからの供給が不足するのでは?という懸念があります。
これも、それぞれの立場から「安定供給に問題なし」「長期収載品の製造ラインを切り替えれば安定供給可能」「供給に懸念あり」という様々な意見が出ており、その真偽が問われています。
薬局の薬剤師にできることは、あまり多くないかもしれませんが、日頃から後発品メーカーの動向をしっかりウオッチして、すぐに製造中止や統廃合をするような不安のあるメーカーの製品を採用しない等の注意が必要かと思います。
なお、「長期収載品の薬価をジェネリック並に引き下げるべきでは」という議論もすすんでおり、次回以降導入がなされる可能性もあるようです。

(4)後発医薬品の適応違い

残念ながら、今回の改定ではあまりフォーカスが当たっていない問題のようです。
ただし、審査機関は「先発品成分の適応に準じる」という姿勢をとっており、現状のままとなりそうです。
(これが、明文化されないことが苦しいことなのですが(^^;)

(5)後発医薬品の同等性について

最後に、少し興味あるトピックを。
「オーソライズド・ジェネリックでも、先発品とは同一製剤ではないものがある」「AGだと思って切り替えると効果が異なることがある」という意見が出ているそうです。(会議の中ではないと思います。)
AGについては、以前の記事「カンデサルタン「あすか」は自社生産?」でも紹介した通り
 ・先発品と同一工場・同一ラインで製造するジェネリック(=オート・ジェネリックとも)
 ・先発品のレシピを譲ってもらって(=オーソライズドされて)、別のラインで製造するジェネリック
の2種類があることをご紹介しましたが、このAGが話題になっているということですね。
…というか、「ジェネリックは先発品と同等の効果がある」という建前だったんですよね???
…やっぱり、効き目に差があるということは、みんな承知の上でゴニョゴニョゴニョ…(^^;
とにかく、患者さんの医療費負担軽減、国の医療費抑制に協力して、薬剤費に取られている財源を、しっかり薬剤師の活動評価のフィーの財源に回してもらえるよう頑張って行きたいと思います!

コメント

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